ビール好き(であろう)皆さんにとって「想い出のビール」はありますか?ビールの味だけではなく、その時の出来事やシチュエーションも含めてひとつの「想い出」となっているのではないでしょうか。
私にとって「想い出のビール」は、子供の頃父親が飲んでいた黒ビールです。普段は外へ飲みにも出ず、4人家族がそろった食卓を大事にしていた父親が、ごくたまに私を連れて札幌大通のビアホールで黒ビールを1杯だけ口にするのです。当時は市場に出回っている黄金色のビールを毎日大瓶で1本だけ飲んでいた父親が噛み締める様に‥‥もの凄く特別なビールなのだと子供心に思えたものでした。更に大人になり、その1杯が「自分へのご褒美」だったのではないかと理解できるようになりました。そんな父親の息子である私は、仕事柄なのか浴びるほどの褒美を自身に与えてばかりですが‥‥。
ビール醸造技術者である私にとっては「美味しいビール」を造る事が大前提です。しかしその一方で、たくさんのメーカー及び銘柄のビールがある中から、自分の造ったビールがごく少数の方だけにでも「想い出のビール」として取り上げていただけたら、何と素晴らしい事なのだろう!‥‥なんて事をビール造りの合間に考えております。